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【小説】モンスター/百田尚樹

友人のすすめで購入。

生まれつき醜くて、家でも学校でも虐げられてきた主人公が整形によって変わっていく話。

整形依存の本だって聞いていたけれどそうは思わなかった。
作中にもこの話は出てくるけれど、整形が依存になってしまう人は特定の直したい箇所があるだとか目標の顔があるだとかではなく、なんとなくこのままじゃだめだ、変な気がする、綺麗にして、もっと大きくして、もっと綺麗にして!って感じになって、結果的にクリーチャーのような不自然な顔になっていく人だと思う。
しかし主人公は主治医の話をよく聞いて、どういう比率が美しいという印象を与えるのか、どういう整え方が、崩し方が人を惹きつけるのかと綿密に計算して作り上げていっている。
だから無駄な整形はしないし自己満足の整形もしない。
男ウケは悪いかもしれないけど私は満足なの!みたいな施術は絶対にしないの。

作者が美容整形について書きたかった話だそうで、なるほどストーリー自体にひねりはないし美しさを求める話のわりにスキンケアやダイエット等は全く掘り下げられてない。
顔だけが醜くて、肌は生まれつき綺麗だしスタイルも生まれつき良いというある意味奇跡の主人公である。

…そんなことあるの?

ブスが性格が悪くて美人は性格が良いのは内面が外見に出るなんて話ではなく、美人は世間が優しくしてくれるから性格が捻くれない、と言ったことが念入りに書かれている。
主人公は顔が醜すぎて友人もいなく、整形するまではなるべく罵倒されないようにひっそり暮らしてきていて、特に美容関連の努力もしていない。
顔を隠すために前髪を伸ばしてるような主人公が姿勢よく暮らしたり肌の手入れをしたりするだろうか?
表情は勿論だけど、身体つきだって意識の部分が大きいと私は思う。
スカートを履いて足を日頃から見られることによって綺麗になるだとか、お腹を意識的にへこませてるだけで変わってくるとかいうじゃない?
何も意識せずに容姿を諦めてアラサーまで生きてきた女性がくびれてるとかあり得るの?
アラサーまで化粧どころか紫外線対策すらしてこなかったであろう女性がポンと肌診断してみたら肌年齢20才とかさ?

顔に関してだけは細かく書いてるのに、肌や体については“幸運にも生まれつき良かった”と丸投げしてるあたりいっそ清々しい。

整形依存こええええな本って聞いていたけどそんなことはないです。
“顔とは”な本。