【映画】クロユリ団地
ホラーがとても苦手な私でも冷静に観ることが出来てしまったある意味すごい映画。
ネタバレ厳禁なストーリーだけどネタバレ満載で書きます!
私がミステリー大好きだからなのか映画自体がわかりやすすぎたのか、
腕時計に関する会話や兄弟間の年齢差、あれだけボロい団地なのに何故かリビングだけちょう綺麗なことなんかで、
「あっこれ家族死んでるやつだ!」って早くからわかったものの。
いちいちド迫力な顔面すぎて恐怖やら悲しさやらが入ってこない\( 'ω')/
そもそも冒頭でひとりで団地の公園?をお散歩するシーンでも「手は?!手はふらないの?!普段手ぶらで歩くことなんてないからそんな手持ち無沙汰感満載なの?!」ってのが気になって仕方なくてですね…。
もう前田敦子の顔面だとか過呼吸気味な呼吸だとかやつれたっていうか顔と唇の色味を消しただけの化粧とかがいちいち気になって、これはもうドラゴンボールで有名になりすぎたせいで悟空の声優さんは他のお仕事がしにくい的なあれですね!!
ストーリーとしてはホラーかと思ったら共依存から抜け出せないメンヘラの話でした。
一緒に遊ぶ(意味深)
↓
共依存
↓
周りに止められる
↓
「もう会わない」
↓
「嘘つきだね」
↓
ごめんなさいやっぱりあそぼおおおおおおお
↓
ループ
目を覚まさせようとする周りの人間は攻撃してでも排除するところといい、これはDVとかモラハラとかの話やで。
【映画】ヴァンパイア/岩井俊二
自殺サイトで女性と知り合っては自殺方法として“血抜き”を提案し、心中してくれるものとばかり思ってる女性の血を抜いて殺して、自分はぐびぐび血を飲みつつ颯爽と帰宅する主人公。という始まり。
前情報なしで観たから最初は主人公が、いわゆるファンタジーの世界のヴァンパイアなのか、単なるヘマトフィリアなのかわからなかった。
でもぐびぐび飲んでからわりとすぐにゲーゲー吐いてたし、あれ?違う?って。
何かで読んだけど、血液って飲み物にするには胃に重いらしいですからね。
そんな主人公の表の顔は高校の生物教師。
アルツハイマーの母と暮らしている。
その母がまた…。
白い大きな風船が沢山ついたコルセットのようなものを着ていて、基本的にそれをつけて暮らしている。
ふわふわするからトイレやベッドへの移動の際に腰への負担が少なく、なおかつ風船が大きいし数が多いので外に出られないようになっている。なんかきれい。
主人公は何人もの自殺幇助というか殺人をしていて、世間では連続殺人犯として“ヴァンパイア”だなんてあだ名をつけられていて。
異常殺人だか血液だかを愛するサークル的なものに顔を出してみたりして、そこで知り合った人の一人にうっかり主人公が“ヴァンパイア”であることがバレてしまう。
彼からしたら巷で騒がれている“ヴァンパイア”なんて有名人なわけで、よっしゃ一緒に殺しに行こうぜ!お前のやり方を見せてくれよ!となるんだけど。
その人は単に血まみれセックスがしたい強姦殺人犯だったりして、なかなか主人公と分かり合える人もいないぽい。
主人公がタゲるのは女性ばかりだし睡眠薬を飲ませてから血を抜いて殺すわけだけど、その後犯していたり彼が性的興奮を感じている描写はないので。
そしてある日、いつものように自殺サイトで知り合った女性と待ち合わせると予定外に相手が複数人で、山奥で車内で集団自殺をしようとなってしまう。
しかしもともと死ぬ気なんてない主人公は即効で車外に逃げ出し、レディバードという女性もつられて外に逃げてきて、ふたりのみが助かる。
レディバードと一緒にバスに乗れるところまで16kmの道のりを歩いていく中で何か芽生えたらしく、主人公はレディバードに自分がヴァンパイアであることを明かし、集団自殺のリーダーのPCも預ける(リーダーと主人公の通話記録があるのでそれがあればバイバイしても連絡がとれるのね)。
レディバードは自ら、なら私の血をあげる、と言って、自宅に冷凍庫も買い、自分が死ぬ準備をして主人公との再会を果たす。
そして施術の前にレディバードが自殺志願にいたるまでのエピソードの独白があるわけだけど、完全にだめな母ちゃん\( 'ω')/
自分の子供が恋人に虐待されてるのに恋人を失うのが怖くて止められなくて結局子供を殺されてしまい、恋人も刑務所に行ってしまった、死にたい的な\( 'ω')/
これのどこに心を動かされたのか私はさっぱりわからないのだけども、主人公はレディバードは殺さずに助けようと思って血抜きを中断する。
そして目が覚めたレディバードといい感じになって、「なら私あなたの為に生きるわ、好きなときに血を飲んで」と。
結局共依存な関係がないとだめな女なんやないかーい\( 'ω')/
時系列が前後してしまうけどそんな風に自殺を煽り続けてきた主人公も生徒の自殺は止めるんだよね、それもわりかし親身に。
人の体には60兆の細胞があり、君の体はいわば細胞たちのアパートだ、彼らが生きるがために食欲や性欲という欲求があり、人間は生まれながらに細胞の奴隷だ、彼らを勝手に死なせてはならない…(うろ覚え)みたいなことを淡々と説明してみたり。
あと序盤からずっと主人公のことが好きで勝手に自宅に上がり込んで母親の世話や料理をしやがる女がいるんだけど、とても不毛である。
主人公は要はメンヘラが好きなので、そんな風にアグレッシブにぐいぐい押してきて精力的に生きている女は眼中にないわけ。
そのせいで最後らへんにその女の名前を呼び間違えて激昂させてしまい、主人公が留守の隙にピッキングまでして家の隅々まで捜査(他に好きな女が居るのね!どんな女よ!的な)されて過去の殺人がバレてしまってあぼーん。
からの、えっまさかの夢オチ?!?!な不思議な終わり方でした。
映像美といえば確かに映像はとても綺麗。
雑に言ってしまえば中二病とメンヘラの恋。
私はひたすらにお母様推しです。
【映画】スプライス
人外のデザインのみを楽しむ映画。
遺伝子の結合?を研究しているカップルが会社に内緒で人の遺伝子を使って新しい実験をしたところうっかり成功してしまい、折角だから育ててみようぜな話。
彼氏の方は最初は科学的には大きな一歩かもしれないけど倫理的にダメだろとか止めるんだけど、いかんせん流されやすく、大抵彼女の言いなりになってしまう。
最初はモロに地球外生命体といった容姿だった実験体・ドレンは成長するにつれて人間に近くなっていき、近くなればなるほどに不気味。でもちょっと可愛い。
サイエンスホラーというカテゴリらしいけどこれは毒親の話ですね。うん。
母親に虐待されていたらしい主人公(研究者カップルの女の方)が彼氏にも内緒でこっそり自分の遺伝子を使って生き物をつくり、子育てをする。
人間の子供だと思い通りにはいかないけど、“実験体”なら好きなように出来るから。
でもほぼ人間に近い容姿に成長したドレンを汚い納屋みたいなとこに監禁して育てたり、ドレンの大切にしてるものを取り上げたり、かと思えばご機嫌取りのために返してみたり、それをはね除けられたら激昂したりと、完全に毒親です。
ドレンは喋れなくとも筆談は可能で意志があることがわかってるのに、「私に反抗したわ!!!」とかキレるし。そりゃね、ていう。
後半はトンデモ展開だし登場人物はクズばかりで誰1人として成長しないしでB級胸糞映画って感じでした。
あ、でも人外ちゃんのセックスシーンはそれなりにどきどきしました!
むしろそれが見たくないなら何を見るのか?ていう作品。
【小説】モンスター/百田尚樹
友人のすすめで購入。
生まれつき醜くて、家でも学校でも虐げられてきた主人公が整形によって変わっていく話。
整形依存の本だって聞いていたけれどそうは思わなかった。
作中にもこの話は出てくるけれど、整形が依存になってしまう人は特定の直したい箇所があるだとか目標の顔があるだとかではなく、なんとなくこのままじゃだめだ、変な気がする、綺麗にして、もっと大きくして、もっと綺麗にして!って感じになって、結果的にクリーチャーのような不自然な顔になっていく人だと思う。
しかし主人公は主治医の話をよく聞いて、どういう比率が美しいという印象を与えるのか、どういう整え方が、崩し方が人を惹きつけるのかと綿密に計算して作り上げていっている。
だから無駄な整形はしないし自己満足の整形もしない。
男ウケは悪いかもしれないけど私は満足なの!みたいな施術は絶対にしないの。
作者が美容整形について書きたかった話だそうで、なるほどストーリー自体にひねりはないし美しさを求める話のわりにスキンケアやダイエット等は全く掘り下げられてない。
顔だけが醜くて、肌は生まれつき綺麗だしスタイルも生まれつき良いというある意味奇跡の主人公である。
…そんなことあるの?
ブスが性格が悪くて美人は性格が良いのは内面が外見に出るなんて話ではなく、美人は世間が優しくしてくれるから性格が捻くれない、と言ったことが念入りに書かれている。
主人公は顔が醜すぎて友人もいなく、整形するまではなるべく罵倒されないようにひっそり暮らしてきていて、特に美容関連の努力もしていない。
顔を隠すために前髪を伸ばしてるような主人公が姿勢よく暮らしたり肌の手入れをしたりするだろうか?
表情は勿論だけど、身体つきだって意識の部分が大きいと私は思う。
スカートを履いて足を日頃から見られることによって綺麗になるだとか、お腹を意識的にへこませてるだけで変わってくるとかいうじゃない?
何も意識せずに容姿を諦めてアラサーまで生きてきた女性がくびれてるとかあり得るの?
アラサーまで化粧どころか紫外線対策すらしてこなかったであろう女性がポンと肌診断してみたら肌年齢20才とかさ?
顔に関してだけは細かく書いてるのに、肌や体については“幸運にも生まれつき良かった”と丸投げしてるあたりいっそ清々しい。
整形依存こええええな本って聞いていたけどそんなことはないです。
“顔とは”な本。
【映画】バケモノの子
細田守作品で初めて鼻水垂らしてボロ泣きした。
ネタバレありっていうかもはやあらすじ。
家族を失った主人公が全てを否定して路肩に蹲っているところに、
早急に弟子をとらなければいけない事情のを抱えたバケモノ(ていうかただのケモナー)熊徹がたまたま通りかかって、「弟子なんて1ヶ月ももたずに皆すぐ辞めちまう!今からなりたがる奴もいねえ!いっそもう人間でも弟子にするか?!」みたくなり物語は始まる。
バケモノの世界に迷い込む過程は千と千尋を思い出した。
最初主人公は熊徹の弟子になることにもガンガンに反発していて逃げ出すんだけど、
その逃げている最中に街中でたまたま熊徹とそのライバルとの手合わせ(喧嘩?)に居合わせる。
そこで観衆が全員ライバル氏
の応援をしていて熊徹への声援なんてひとつもないのを見て「コイツもひとりぼっちなんだ」と共感&負けてんじゃねーよ!となり、そこから主人公はちゃんと熊徹のもとで修行を積むことにする。
9歳だったので九太という名を貰って。
現宗師(バケモノ界の長)が神様に転生することになり、次期宗師を決めなくちゃいけないの。
その候補がライバル氏と熊徹。
そのためにも、ライバル氏には息子も弟子もいるのだし熊徹も弟子をとれって言われてたのね。
バケモノと違って人間は心に闇を抱えてしまうしそれが取り返しのつかないことになるって言って、ライバル氏や熊徹の友人も人間を弟子にすることに反対するのだけど、現宗師が許可してくれたことでみんな黙る。
とは言っても熊徹は親も師匠もなしにひとりで強くなれてしまった人な上に元の性格が粗野で、人に物を教えるということができない。
「だから!ぐいっとやってびゅんっとやるんだよ!胸の中の剣をふるんだよ!」と言った風。
毎日毎日口喧嘩をしながらも熊徹の足の運びだけでも見て盗もうとしたり、炊事洗濯掃除なんかをやっているうちに、九太は熊徹の次の動きが読めるようになる。
そこからは稽古というなの教え合い。
相変わらず喧嘩はしながらだけど、お互いに切磋琢磨していく。
17才になった九太はある日ふと人間界に戻れてしまう。
確かに強くはなったけど、一切教育を受けていないせいで図書館に行ってみても漢字が読めない。
そこで漢字の読み方や勉強を教えてくれる女の子(楓)に出会い、バケモノ界で稽古に励むかたわらで人間界に通い、着々と知識を吸収していく。
ここからはとんとん拍子で、こんなに勉強熱心なら大検を受けてみたら?からの、そのためにまず戸籍から住民票をとりなおし、そしてどこにいるかわからなくなっていた父親の住所も判明する。
8年間親代わりだった熊徹に進路なんかも相談できればいいのに、いかんせん熊徹自身がまだ中身が子供で、九太の話をまともに聞いてあげることも出来ず。
学ぶ楽しさに目覚めてしまっている九太は熊徹のガキっぽさに嫌気がさして出て行ってしまう。
実父は再会を喜んで、今までのツラいことは忘れてやり直そう、一緒に暮らそう、って言ってくれるのだけど、
九太の中には「なんで今までツラがったって決め付けるのか?」という葛藤もあって。
そしてしばらくぶりにバケモノ界に帰ってみると熊徹とライバル氏との決戦の日が決定していた。
九太が出て行ってしまって若干自棄糞な熊徹が負けかかったところに、観衆に紛れて観戦してた九太が出て行って喝をとばし、熊徹大復活。
めでたく勝利するんだけど、そこで実はバケモノじゃなくて人間だったライバル氏の息子・一郎彦(超ファザコン)が闇に飲まれて大暴走して熊徹を刺してしまう。
昏睡する熊徹の寝顔を見つつ、人間界を彷徨っているであろう一郎彦を倒しに行くことを決意する九太。
自分の胸にもある心の穴に一郎彦を取り込んで自分ごと死ぬことも辞さない決意。
ここからの伏線回収の嵐はちょっとわかりやすすぎて、なんかもうこれ馬鹿だとおもわれてるのかな?って思う部分もあったけれど…。
すっかり闇に飲み込まれた一郎彦は人間界で大暴れしていて、九太はマトモに戦おうとしても歯が立たない。
どっかんどっかんいってる衝撃がバケモノ界にも伝わるんだけど、人間同士のことだし…みたいなムード。
そこに意識を取り戻した熊徹がボロボロの身体を引きずってやってきて、宗師様に「この場をおさめる方法を腹の中に抱えてるだろ」と。
つまり神様に転生する権利をよこしやがれ、と。
本当なら単なるバケモノがいきなり神様にはなれないんだけど、決戦に勝って宗師の地位を得た熊徹にはそれが出来る。
ちなみに元宗師様は“決断力の神”に転生しようとしていた。
この映画で言う神様は全知全能のなんでも出来る神様ではなくて、日本の宗教観にのっとった八百万の神。
熊徹はなんの神様になるつもりなんだろう?って思って見てたのだけどここからがボロ泣きですよ、ええ。
熊徹はね、「こんな半端者の俺だけど、九太の心の穴は埋めてやるんだ!」って吠えるの。
誰でも抱えてる心の穴を父性で埋めてくれるだなんて〜!と、長年父性への飢えが人生のテーマだって私はまず泣けてしまった。
そう、心の穴を父性だとか慈愛だとか、楓との恋心だとか、その手のただただ温かくて優しいもので埋める、って展開ならね。
最高に陳腐で綺麗事でわかりやすくて簡単だったと思うし、それまでで盛り上がってたからそれでも泣けたと思うのだけどね。
実際に熊徹が何の神様に転生したかというと、剣の付喪神になったの。
付喪神っていうのは物につく神様。
でも今作では物そのもの。
熊徹は完全に剣の姿で九太のピンチに現れる。
そしてバケモノ界の面々が九太に言うのね。
「その剣は熊鉄だ。」
「あいつは馬鹿だから、お前の胸の中の剣になるんだとよ!」って。
なんという胸熱展開。
九太の心の穴を父性で埋めたところでそれは過去の埋め合わせにしかならないし、慈愛や優しさでも。
九太はこれから沢山のことと戦わなくてはならなくて。
そこで“胸の中の剣”!アツい…!
私、筋肉少女帯の「香菜、頭を良くしてあげよう」って曲を思い出しました。
*
香菜、君の頭
僕がよくしてあげよう
香菜、生きることに
君がおびえぬように
香菜、明日、君を図書館へ連れていこう
香菜、泣ける本を、
君に選んであげよう
香菜、いつか恋も
終わりが来るのだから
香菜、一人ででも
生きていけるように
*
それは置いといて。
剣となった熊徹は九太の心の中に宿り、そして九太は一郎彦を倒す、もとい、救う。
それから九太は二度と剣をふるうこともなく、人間界で大学受験を目指す。実父と暮らしながら。
胸の中に宿った熊徹に、相変わらずの口の悪さで、そこで見ておけよ、って呟きながら。
今年の夏にドハマりしたマッドマックスが とことん台詞と説明を削って、全ては観ればわかる、自分で読み取れ!!な映画だった分、すこし説明過剰に感じたかな。
弟子を育ててるだけでなく育ってるのは熊徹の方だとか、白鯨のくだりだとか、それくらい台詞にしなくても観客は読み取れるから大丈夫だよ…?ってなった。
夏休みだし子供も沢山観るだろうから優しさなのかな。
少し馬鹿にされてる気がしてしまったけども。
とは言え、ケモナー萌えと胸の中の剣のアツさに全て持って行かれたので良しとします!
久しぶりに映画で素直に泣きました!
最後に空のドリンクを係員さんに渡すときとか自分が完全に泣きましたな顔をしていて恥ずかしかったです!!
観たあとの、ちゃんと一日一日丁寧に暮らす事こそが修行なのだ、お掃除とか勉強とかがんばろう、てなるかんじが乱と灰色の世界という漫画に似ている。良い。
【映画】インサイド・ヘッド
ネタバレあり。
主人公ライリーとその頭にある司令部の面々のお話。
司令部にはヨロコビ、カナシミ、ビビリ、ムカムカ、イカリの5人がいて名前の通りの感情を司り、それぞれの性格や得意分野にあわせて司令部ある色々な装置を動かしている。
思い出を整理して保管庫に送ったり、その場に合わせた思い出をピックアップしてライリーにアイデアをもたらしたりと。
5人とも名前の通りの性格をしているけれど概ねみんな素直で、ライリーには幸せになってもらいたいという思いは共通している。
例えばイカリはすぐに怒るけれどイカリの感情を司っている故のことであって、ライリーに対して怒ったりはしないし怒った末の選択も全てはライリーの為。
彼らはゲームのプレイヤーのようにライリーを動かして楽しんでいるわけではなくて、『ライリーを幸せにする』という同じ目標に向かって日々頑張っている。
感情の描き方が面白い。
擬人化するという発想ではなく、生まれ方や育ち方が面白い。
ライリーが生まれた時、そこにいたのはヨロコビだけだった。
司令部にはただひとつのシンプルなスイッチがあって、ヨロコビがそれを押すとライリーは笑う。
そしてそれを見た両親が「見ろ、この喜びにあふれた顔を!」と。
少しするとライリーは泣き出す。
ヨロコビが驚いて周りを見回すとカナシミが陰鬱な表情でスイッチを押している。
成長するにつれて他の感情も生まれ、始めはただの押すだけスイッチだったパネルも複雑になっていく。
参考画像物語は12才のライリーが引っ越しに伴って転校をするところから動き始めるのだけど、
その出来事自体は思ったよりも新居がショボかっただとか転校先での自己紹介でポカをやってしまっただとか、引越し前の親友に連絡をとったら既に新しい友達が出来ていてショックを受けるだとか、そういうありふれた話。
でもそれらが大人からしたらありふれた話でも12才のライリーの身には初めて起こったことで、頭の中の面々も逐一大騒ぎをする。
ムカムカやビビリ、カナシミたちが自己主張をするとヨロコビがすかさず励まして、それを「大丈夫!あの時のこと覚えてる?こうしようよ!こう考えよう!それって最高!」って過去のヨロコビに属する思い出をとりだしては事態をなるべくハッピーな方へ導こうとする。
ちなみにライリーの中では基本的に中心にはヨロコビがいる。リーダー的で、ぐいぐい引っ張っていく。
そしてそれぞれの感情の差がハッキリしている。
途中で両親や他の人の頭の中も少し出てくるのだけど、感情たちの性格の差がライリーほどにはなかったりするし、中心人物はイカリだったりカナシミだったり。
ライリーのもともとの性格が明るくて楽観的で感情豊かなんだろうね。
まだ12才なのもあって、彼らはカナシミが何のためにいるのかわからずに存在を持て余している。
例えばビビリはライリーの安全を守るのが得意だけどカナシミって何してるんだろ?みたいな。
だから大切な思い出たちもカナシミの手には触れさせないし、なるべくライリーに幸せにいて欲しいヨロコビはカナシミのことを軽く閉じ込めてしまおうとすらする。
カナシミが思い出の玉に触れると、幸せな思い出もカナシミに染まってしまうから。
毎日毎日思い出の玉は様々な色で無数に作られていて、それは司令部から他の島に送られて保管されているのだけれど、ライリーの性格を形作る鍵となる“特別な思い出”は司令部に大切に保管されている。
ある日、落ちそうになっていた“特別な思い出”を支えようとカナシミがそれに触れ、ヨロコビが慌てて止めようと慌ててしまい、ちょっとした事故でヨロコビとカナシミ、そして“特別な思い出”は司令部の外に放り出されてしまう。
ヨロコビもカナシミも特別な思い出もわからなくなったライリー。
性格を形作る島々も次々に壊れていって、司令部にはイカリとビビリとムカムカだけ。
どんどんライリーの精神状態も現実の問題も悪化していく。
ヨロコビたちが居なくなったからそうなったのか、そんな状態を“ヨロコビとカナシミの不在”として描いてるのかは鶏と卵の問題みたいなものかな。
なんとか司令部に戻ろうとする為の冒険の中でカナシミにしか出来ないことを知ったり、ヨロコビに属する思い出たちも実はカナシミと表裏一体であったことを知ったりして。
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あ、サラッと書いたけどこれがメインストーリーです。笑
カナシミという感情を見て見ぬふりをせずにちゃんと認めることを知り、ライリーはちょっぴり成長するのでした。そんな、お話です。
その後少し成長したライリーの頭の中はというと、司令部のコントロールパネルが更に複雑になり、思春期スイッチがついたり。
思い出もただひとつの単純な感情ではなくてイカリとカナシミが混ざっているものやヨロコビとビビリが混ざっているもの、どんどん複雑になる。
でもみーんな、ライリーの幸せを願っているのには変わらないんだよヽ(*´v`*)ノちゃんちゃん。
最後ちょっと文章を書くのに飽きた感が…。
イカリとムカムカって近い感情だと思うんだけど、切ないってニュアンスの英語がないように、日本語にぴったりこないニュアンスの感情なのかなあ???