めも。

観たり読んだりしたものたちを記録するとこ

【映画】ヴァンパイア/岩井俊二


f:id:wa1127:20150820194346j:plain


自殺サイトで女性と知り合っては自殺方法として“血抜き”を提案し、心中してくれるものとばかり思ってる女性の血を抜いて殺して、自分はぐびぐび血を飲みつつ颯爽と帰宅する主人公。という始まり。

前情報なしで観たから最初は主人公が、いわゆるファンタジーの世界のヴァンパイアなのか、単なるヘマトフィリアなのかわからなかった。
でもぐびぐび飲んでからわりとすぐにゲーゲー吐いてたし、あれ?違う?って。
何かで読んだけど、血液って飲み物にするには胃に重いらしいですからね。

そんな主人公の表の顔は高校の生物教師。
アルツハイマーの母と暮らしている。
その母がまた…。


f:id:wa1127:20150820194815j:plain


白い大きな風船が沢山ついたコルセットのようなものを着ていて、基本的にそれをつけて暮らしている。
ふわふわするからトイレやベッドへの移動の際に腰への負担が少なく、なおかつ風船が大きいし数が多いので外に出られないようになっている。なんかきれい。

主人公は何人もの自殺幇助というか殺人をしていて、世間では連続殺人犯として“ヴァンパイア”だなんてあだ名をつけられていて。

異常殺人だか血液だかを愛するサークル的なものに顔を出してみたりして、そこで知り合った人の一人にうっかり主人公が“ヴァンパイア”であることがバレてしまう。
彼からしたら巷で騒がれている“ヴァンパイア”なんて有名人なわけで、よっしゃ一緒に殺しに行こうぜ!お前のやり方を見せてくれよ!となるんだけど。
その人は単に血まみれセックスがしたい強姦殺人犯だったりして、なかなか主人公と分かり合える人もいないぽい。
主人公がタゲるのは女性ばかりだし睡眠薬を飲ませてから血を抜いて殺すわけだけど、その後犯していたり彼が性的興奮を感じている描写はないので。

そしてある日、いつものように自殺サイトで知り合った女性と待ち合わせると予定外に相手が複数人で、山奥で車内で集団自殺をしようとなってしまう。
しかしもともと死ぬ気なんてない主人公は即効で車外に逃げ出し、レディバードという女性もつられて外に逃げてきて、ふたりのみが助かる。
レディバードと一緒にバスに乗れるところまで16kmの道のりを歩いていく中で何か芽生えたらしく、主人公はレディバードに自分がヴァンパイアであることを明かし、集団自殺のリーダーのPCも預ける(リーダーと主人公の通話記録があるのでそれがあればバイバイしても連絡がとれるのね)。

レディバードは自ら、なら私の血をあげる、と言って、自宅に冷凍庫も買い、自分が死ぬ準備をして主人公との再会を果たす。
そして施術の前にレディバードが自殺志願にいたるまでのエピソードの独白があるわけだけど、完全にだめな母ちゃん\( 'ω')/
自分の子供が恋人に虐待されてるのに恋人を失うのが怖くて止められなくて結局子供を殺されてしまい、恋人も刑務所に行ってしまった、死にたい的な\( 'ω')/

これのどこに心を動かされたのか私はさっぱりわからないのだけども、主人公はレディバードは殺さずに助けようと思って血抜きを中断する。
そして目が覚めたレディバードといい感じになって、「なら私あなたの為に生きるわ、好きなときに血を飲んで」と。
結局共依存な関係がないとだめな女なんやないかーい\( 'ω')/

時系列が前後してしまうけどそんな風に自殺を煽り続けてきた主人公も生徒の自殺は止めるんだよね、それもわりかし親身に。
人の体には60兆の細胞があり、君の体はいわば細胞たちのアパートだ、彼らが生きるがために食欲や性欲という欲求があり、人間は生まれながらに細胞の奴隷だ、彼らを勝手に死なせてはならない…(うろ覚え)みたいなことを淡々と説明してみたり。

あと序盤からずっと主人公のことが好きで勝手に自宅に上がり込んで母親の世話や料理をしやがる女がいるんだけど、とても不毛である。
主人公は要はメンヘラが好きなので、そんな風にアグレッシブにぐいぐい押してきて精力的に生きている女は眼中にないわけ。
そのせいで最後らへんにその女の名前を呼び間違えて激昂させてしまい、主人公が留守の隙にピッキングまでして家の隅々まで捜査(他に好きな女が居るのね!どんな女よ!的な)されて過去の殺人がバレてしまってあぼーん

からの、えっまさかの夢オチ?!?!な不思議な終わり方でした。

映像美といえば確かに映像はとても綺麗。
雑に言ってしまえば中二病とメンヘラの恋。
私はひたすらにお母様推しです。